=第4章・第3部=
始まり

 

「少々、昨日の話もあって、準備をしていてね。待たせたかな…」
 素振りは悪い悪いといいつつも、その目からはまったくもって悪いと思ってない、それが読み取れる表情で自分の机の席を引き、ギシンと腰を下ろした。
「ん、その表情は…さっきのセキランについてかい?」
 たぶん、来訪者の顔は特に変えたつもりはなかったのだが、ナウが嬉々として声を上げるのに、相手は、…この事を話したくてたまらないだけだろう…と考え、心あらずなうなずきを返してあげる。
「いやはや、君ほどの力の持ち主なら、彼女が人でない事に気づいてくれるだろうと思っていたよ」

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