=第4章・第10部=
始まり

 

「やれやれ、あいつは元気だねぇ」
 その姿に気づいた、二人の片割れ、ナウがぼやきを呟くと、サングラスで口元しか表情の見えない真吾も苦笑で返してみせる。
「二人とも、遅いよ」「分かってるって、色々と入用があるんだよ。文句あるか?」
 奈々美の不平満々な態度に、ナウも負けじな態度を返す。その遣り合いに慣れている久美は溜息を吐いてみせ、美矢は興味なさそうにしていた。そんな三者三様の女性陣を見返しつつ、ナウはヘラヘラとしたもので。
「まあ、しばらくは移動なんだから、乗ってからにしようぜ」
 と、うそぶいてみせたのだった。

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