=第4章・第21部=
始まり

 

 奈々美は、さらに眉を曲げ、ぶ〜ぶかと不満な声を上げた。…そこで、ナウは、初めて、しまった?か…、と目元を釣り上げる。
「…」それから、思惑の表情に変わり、「ナウ〜」という奈々美の返答を求める声で我に返ったような返事をした。
「ぁあ、悪い悪い。そうか、そうなのね。それじゃぁ、久美も知らないわな」
「まあね」
 久美も奈々美に同意する感じの、ちょっと気だるそうな相槌を見せる。
「…そうだな」二人の返答に、ナウは視線を周囲に回して、それから近場に喫茶店があるのを見つける。
「話をしだすと少し長くなるからな。そこの喫茶店ででも、暖を取りながらしますかね」
 ただし、「奈々美の分は、全部控えておくぞ」と、付け加えての、提案だった。

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