=第4章・第26部=
始まり

 

「このように、二つの世界は平行に並び、お互いはお互いを認識できず、平行線をたどるわけだ。この限りで言えば、二つは決して交わるはずがない。だが、たった一つだけ二つの世界が共有するものがあるが、わかるかな?」
 ナウは、周りを見回し、答えを待つ。が、やはり、返答がないので、ゆっくりと「時だ」と、言った。
「時間はどの世界でも共通だ。早くもなく、遅くもなく、時間の概念の違いはあるとは思うが、時間の流れは常に一定方向であり、一定の間隔で流れ、どの平行世界にも分け隔てなく、時間という流れを提供する。…つまり、時間という空間に、世界は漂っていると、仮定でき、時間という力で流され続けていると、考えれる訳だ」
 真吾が、「時空間」と呟き、ナウはゆっくりとうなずいた。

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