=第4章・第33部=
始まり

 

 そこで、喫茶店員が注文した品を持ってきて、手際よく置いていく。
 ただ、誰も手を付けない。奈々美でさえ、ケーキに手を付けない。
「まあ、今話したのは、エネルギーとして使った場合の話で、平行世界の移動とは別の話だ」
 ナウは、少しだけ背もたれに肩を押し付けて、息深くついてから、話し出す。
「話途中でも言ったと思うが、手順さえ踏めば、潜水艦のハッチから時空間へ出ることはできる。その方法を踏めば、潜水艦自体に被害を出す事なく、人は時空間に出る事が出来、そして世界に入る事も可能だ」
 しかし、嬉しそうに話さないナウは、…ゆっくりと言葉を続ける。

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