=第四章・第三部=

陽炎う遮光より来る日

 

 空を眺めながら、微笑みを浮かべる鶫…。
 何を言われるのか…と、肩を強張らせ、うつむく雀…。
 固まったように動かない二人、そうやって時が流れていく空間に、たまらず、雀は口を割った。
「えっと…」
「あなたがここに着たのは、偶然ではなく、神が私に与えてくれたチャンスと思っているわ…」
 不意に、その雀の言葉をさえぎるように、鶫が口を開いた。
 ただ、先ほどとは違う…なまりのない流暢りゅうちょうな喋り方だったので、雀は目を見開き、視線を鶫に向ける。その表情は、あの大胆な笑顔ではなく、…はっとするような、綺麗な微笑みを見せていた。
「できる事ならば、あなたには、本当の事、聞いてもらいたいと思うのよ…」
「…」
 鶫の微笑みの中に宿る悲しみを微かに感じ取った雀は、その先に潜む事を探るように彼女を見つめ返す。
「きっと、隼人は…あなたのような人の助けが必要になる…」
「私の…助け…」
「それは、私やイスカではできない。いえ、できる事じゃない…。から」
「…」
 そして、鶫は一息だけ置いて、「あなたに一つだけ、質問しても良いかしら」と言い、隼人とイスカのいる駄菓子屋に視線を向け、問いかける。
「雀さん、隼人がもし、…これからも、…困難にあった時、支えてもらえるかしら?」
 つられるように同じ方向を見ていた雀は、その言葉に視線を彼女へ戻す。
「私は、隼人と知り合って、隼人と知り合った人達を見て、雀さん…あなたなら…隼人の行く末を守ってくれると、信じてる」
「鶫さん…」
「もちろん、共に過ごすとか、そういうのじゃないのよ。でも、できるなら…あなたと一緒に過ごしてほしいとも思う」
 鶫は、それから、真剣な眼差しで…雀を見た。

「雀さん、あなたは隼人を愛している?その思いに偽りはなく、彼を支えてあげられる?私はそれを信じてもいい?」

 


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