=第一章・第四部= |
「は〜い、おまた〜」 味わい深いコーヒーを堪能している最中、昭汰の背後から声がかかる。 彼が振り返れば、そこに簡素なTシャツにGパン姿の久美が立っていた。 「じゃあ、役所までお願いね。久美」「はいはい、」 不意に続けられる光景に疑問符を浮かべる昭汰だったが、 「一応、ここでお店、やるんでしょ?マジックショーとか」と、オーナーが声をかける。 「だったら、町役場で了承もらっておいた方が、いいんじゃない?久美が案内させるわ」 そんな言葉に昭汰は少しばかり、戸惑い…、その優しさに笑みが漏れるも、「でも、お店は…」と、問いただした。 「いいのよ、どうせ、今日は土曜休みだもの、お客の若いのは町に遊びに出ちゃってるわ。気にしないで」 「ま、それでも働かないといけないんだから、私も大変よね〜」 と、オーナーの言葉に久美は苦笑いを返しつつ、オーナーの差し出したケーキ入れを受け取った。 「さ、いきましょう、えっと、昭汰さんでいいのかな?」 |