=第一章・第五部=
=1日目=

 

  カランカラ〜ン

 軽快なベルの音が鳴り、昭汰は久美につれられるままに、外に出た。
 変わらない光景、変わらない秋空、そして、変わらない風。

 その中を久美を前に歩き出す。

「そうねぇ」
 不意に、久美が口を開き、昭汰の方にと振り返り、にこりと笑った。
「そうそう、そろそろ私達の学校で学園祭をやるんだけど、その催し物に出てみるってのもいいわね」
「…」
 そんな突然の申し出に、少し昭汰は目を見開いたが、…少しだけうれしそうにするも、…
「でも、テレビに出てないしがない旅芸人だよ…。たいした芸もないし、…それに、大勢過ぎる前では、ちょっと」
「あきれた、あんた芸人でしょ?」
 昭汰の口ぶりに久美が、これ見よがしな不満な表情を見せ、覗き込む。
「そんな怖気づいた事ばっかりいってて、食っていけると思ってるの?あんた、プロなんでしょ。金をもらってるんだから!!」
 そう言われ、ただただ、視線をそらし、「確かにね…」と、是正した。

「でも、テレビで食っていく…とか、そんなの考えていないんだよ…、なんていうか、…子供達に楽しんでもらえる…、そんな芸人を目指してるから」


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