=第一章・第十一部= |
「そういえば、あんた、泊まる場所、どうするの?」 一応の町内での催し物を行う際の手続きを済ませた昭汰へ久美がそう話しかける。 「…まさか、野宿?」 「それは、…できれば避けるけど…」 都合、金がないのでそのつもり半分であった昭汰だったが、とりあえず、そう答えつつ、コーヒーを口にする。 元々、長居をする予定もなかったのだが、久美の「文化祭」の言葉が引っかかる。 これだけ馬鹿にされたのでは、やはり、少なからずのプライドはでるものだったが…「泊まる場所か…」そこまでの路銀もないので、泊まるのには少々手厳しいのを感じてはいた。 「久美さんの家は?道場の隅でもいいんじゃない?」 「あ〜、…ん〜、…、まあ、私はかまわないけど、昼間とか使ってるわけだから、そんなに良くはないよ」 二人の会話にしばし、耳を傾けながらも…コーヒーを飲み終わり、一息だけ吐いた昭汰は、小さく呟いた。 「まあ、長いでもないので、雨風さえ防げれば、どこでもいいですよ。ここの車庫でも」 |