=第一章・第十二部= |
「そうもいかないでしょうが」昭汰の言葉に久美があきれ、溜め息を吐く。 「一応、文化祭のゲストになる訳なんだから、それを野宿って、どんななのよ」 「確かにそうよね」 久美の言葉に春日も相槌を打つ、…ものの、昭汰は二人に見えないように息を吐いた。 自分が、その文化祭に出るなんて、言ってないつもりだったのだが…、 どうも、二人の言葉からは、もう決定事項になっているらしい。 「…はあ」 昭汰はそれはそれでもういいか、と思いつつ、自分の考えを却下を喰らったわけなので、二人の提案を待つ。 「ま、文化祭までの1週間だし、私の家でいいかな?」 不意に、そう春日が言い出し、電話を手に取る。 「いいの?とりあえず、こいつ、男よ?」 久美がダメだったら、春日しかいないわけなので、そうなるのだが、そうはいっても、の言葉が、久美の口から漏れる。それに、昭汰はへの字に口を曲げてしまった。 「もう、…一人暮らしじゃないんだし、同じ部屋で過ごすわけじゃないのよ。久美」 その言葉に、クスクスと笑いながら、春日は受話器を取り上げ、そのまま、家にと電話をかけたのだった。 |