=第二章・第一部= |
「ぶえっしゅ」 昭汰の鼻の頭が朝の冷たさに震え、それにともなった大きなくしゃみが漏れる…。 少し肌寒さを感じ出した朝方なのだが、…気づけば、毛布で包まってたはずの体は全部はみだし、朝の寒さという布団に身を包んでいた。 「あ〜、寒いはずだわ…」 昭汰は寝ぼけた頭に、目に入る情報を流し込み、…鼻水が出てはいないものの、鼻を強くすすり上げた。 「…」 そして、それから、木目の広がる天井を見つめ、…小さく呟いた。 「屋根のある下で寝るって、やっぱ、いいもんだね…」 ただ、昭汰は、まだむず寒さを感じるようで、足元に広がる毛布を足の指先で拾い、それから巻き上げて、手で掴み、蓑虫の如く、包まってみせる。 「昭汰さん、昭汰さん」 そうして、少しばかり体温が戻りだした頃、障子越しに兎萌の声が聞こえた。 「朝食できましたよ、台所にどうぞ」 |