=第二章・第四部= |
「そういえば、昭汰さん」 いまだ続く、田んぼのあぜ道を行く無言の二人。 の沈黙に耐えられなかったのか、兎萌が口を開き、昭汰を見た。 「こんな片田舎に、昭汰さんはどうして、来られたの?仕事としては、…ちょっと、やっぱりあるでしょ?」 「………」 特に主だった理由はないのが本音の昭汰である。 正直、この町に来るつもりで乗ったのではなく、…この町へ向かう電車ではない、汽車という形式の列車を見た時、疼いた。といった感じだろうか。 「失恋旅行とか?」 「ぶっ!」 無言の昭汰に兎萌がそんな勘繰りを入れてくる。 「そんなんじゃないよ」 さすがに、そんな事柄で捉えられるのは、あまりにも程がある事なので、弁明のまず一言を発する昭汰。 それから、…意味のなく、着た訳の言い訳を探し、…そして、小さく呟いた。 「汽車が…珍しかったんだ。だから、これの行き着く所を、見てみたいかな…、というそんな経緯だよ」 |