=第二章・第七部= |
中もたいして変わりない民家である。 「こんにちは~」 そして、兎萌が大きくそう声を上げた。 ほどなく、「は~い」と、いう女性の声が返ってきた。 「あら、兎萌ちゃん、いらっしゃ~い」 「室戸先生、こんにちは。今日は、家にいるんですね」 奥から出てきたのはTシャツにGパンの…、後、なんだか特徴的な女性であった。 そう、目を引くのは、あまりにも鮮やかな蒼色の長髪であろう。 ただ、名前からすると、日系人という事だろうか。 「ナウ君はいます?ちょっと、お友達を連れてきたの」 「ナウ?ああ、今、買い物に出かけてるから、しばらくは戻らないかな?」 「そういえば、…久美さんも」 今思えば、久美の髪の色も鮮やかな赤色で、…赤毛とは毛色が違っていた…。 「ん?久美さんがどうしたの」 「あっ、いや…ちょっとね」 『不思議な町だ…。』と、昭汰は続けかけた言葉を押しとめる。 「あ、室戸先生、この方、栗本昭汰さん。マジシャンなのよ」 |