=第二章・第八部=
=2日目=

 

「へえ、マジシャン?…あ、あぁ、マジシャンか、…手品師ね」
 ふっと、視線を昭汰に向ける室戸だったが、何か思い当たったような節を見せるように手を叩いた。
「もう、兎萌ちゃん、手品師なら、手品師って言ってよ。ちょっと、驚いちゃった…」
「…、〜ん、と。…まあ、いいか」
 室戸の言葉に対する兎萌の反応。その二人の会話に何かしらの違和感を覚えつつ、昭汰は出された紅茶をすすった…。
「ちなみに、得意は何?カード?」
 紅茶のカップを置いた瞬間、室戸の質問に「…」の無言を返した後、
「カードとハンカチかな…。今日は、ちょっと持参してませんけど」
「へえ、じゃあ、トランプとか用意したら、してもらえる?」
「…簡単なものでしたら、…でも、いいですか」
 やっぱりか、と思いつつ、昭汰は室戸の尋ねにうなづいてみせたのだった。

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