「へえ、出てくれるんだ。文化祭」
[喫茶Rain-Bow]のオーナーが小さく微笑んでくれる。 室戸奈右闇にあって、次の日。
兎萌は学校という事で、町を散策することにした昭汰であったが、何分、何もない町である。
商店街も閑古鳥かのように、日常のお昼は買い物客もまばらで、…
開いてるのは青果店や魚屋、肉屋の数店、…電気屋等は開いているのか、開いていないのか、…
な雰囲気である。
結局、たどり着いたのは、この町に来て、初めて足を運んだ、喫茶店に落ち着いた。
「ええ、…やっぱり、自分がマジシャンを仕事にしてるって、…思ったから」
「それは立派な心がけね」
と、昭汰の言葉に、喜ぶ顔を浮かべたオーナーは、飲みかけのコーヒーの横にパンケーキを添える。
「そんなあなたにサービスよ。文化祭、楽しみね」
「…でも、そんなに期待されると、気負い…するかな」
そんなオーナーの言葉に、また、室戸にみせたような表情をみせる昭汰
「ふふ、」と、それに笑い、オーナーが、コポコポと沸き立つコーヒーメーカーを見ながら、呟いた。
「こんな田舎町よ。どんな芸人でも大歓迎。…だけど、」
そこから、昭汰の鼻先に指先をつけて、
「そんなつまんない顔で芸をする芸人はお断り…。興ざめ、しちゃうわ」
「…それ、昨日、言われました…」
なんだか、色々と見透かされる瞳だな…、と思いつつ、眉をクシャっとゆがめた所、「あら、そう…」とだけ、彼女は言い、手を引いた。
「それを言われて、くやしくなって、…それを見返そうと、思って、…」
「良い心がけね。ますます楽しみね」
「それ、プレッシャー、ですよ。…ふう」
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