=第三章・第二部= |
「そういえば、…久美さんは?」 「あ、ああ、久美は学校よ」 「へえ、アルバイト、いいんですか…、いいなあ」 昭汰のそんな言葉に「ん〜、少し違うわ」と、オーナーは返す。 「私のいとこの娘、だったかしら?…それで、お駄賃付きのお手伝いよ」 「…それ、アルバイトと、言うんじゃないですか?」 「口答えが好きな人ね。どうせ、閑古鳥だし」 「自分でいってるし…」 そう、つまらないほどに、店内は静かだった。 「なんで、こんな町でお店してるんです?この店のコーヒーなら、…絶対、いけるのに」 「………」 その言葉に、オーナーの手が止まり、小さく微笑んだ。 「この町だから、できる事もあるって事よ」 |