=第三章・第三部=
=3日目=

 

「…」
 お茶を嗜んでから、その後、昭汰は店を後にした。
 そして、ある建物の前にある長い長い階段の袂にと足を止める。

  私立原線路界第二学校

 文化祭のその日に、演目をやらせてもらうためには、やはり、学校側の同意がなければならない。
 なので、今日はそのために足を運んだ。…
 ものの、その大きさに少なからずの驚きが隠せない様子ではある。
 そびえる程の階段もそうだが、軽く見積もっても、5階は存在するであろう。中央棟らしきものが見える。
 中高一貫学校とは聞いていたが、こんな片田舎に、これほどの大きな建造物が丘の中腹に存在するのだ。
 正直、これで私立として、採算が取れるのか?と、思うほどである。

 店のオーナーに学校までの地図を求めたが、そんな必要がないといわれた意味も分かる。
 無意味に大きいのもそうだが、駅から一直線なのだ。…これで迷う方が、馬鹿だと言えよう。
 気にせずに歩けば、気づかないが、意識すると、その存在が分かる。という典型例のような気もする。

  「いくか…」

 意識して、それを見ると、あまりに気おされるモノを感じたが、…昭汰はありもしないネクタイを正すような動作をしてみせ、…その階段に一歩、足を踏み出した。


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