=第三章・第六部= |
「昭汰様でございますね?春日さんよりお伺いしております。」 自分の名前を書き終わると、確認をするように目を通したナツは、にこりと微笑み、受話器をとりながら、言葉を続けた。 「では、しばらくお待ちください。こちらに学園祭担当の教員がご案内に参りますので」 「は、はい…」 少しばかり気おされる感じも受けながら、昭汰は受話器を耳に当てるナツへその返事を返し、…しばらくだけ待った。 「…大きな学校ですね」 受話器を下ろし、…言葉もなくなった環境の中、…ナツに言うでもなく、昭汰は呟いた。 「当学園は、中等部と高等部を併合した学園でもありますが、近隣住民用の医療・公共施設もかねている部分もあります。それを担っているのが中央棟です」 「病院とか、図書館なんてのも、一緒に運用してるんだ…。緊急車両とかも?」 「緊急車両とまではいきませんが、医療装置を備えたマイクロバスを代用しているといった所ですね」 「…君は、何でも答えてくれるね」 「はい、私はこの私立原線路第二学校の事務員ですから…。ちなみに、第一学校は幼等部と小等部の併合学園で一駅前にあります。第三学校は大学となっておりまして、同じく、一駅前にあります」 「…ご丁寧にどうも…」 まさか、聞いてない所まで、口に出す所は、…人の心でも読めるのか?とも、感じたわけだが、昭汰はそう、小さくお礼を言ってみせたのだった。 |