=第三章・第七部= |
「はい〜、おまた〜」 少しの間の無言を切り裂くように、そんな女性の声が昭汰の耳に入る。 そして、その声は昨日聞いた声でもあった。 「はい〜、私、室戸奈左水先生がぁ、文化祭の担当でした〜」 「…はあ」 そんなテンションの奈左水へ昭汰は小さく吐息を漏らす。 「なんか、元気ないわね…。兎萌ちゃんの家で、元気を忘れてきたか?」 「いえ、…大体、僕はこんなものですよ…」 昭汰は、それだけを返し、…奈左水を見返した。 「短い間ですけど、よろしくお願いします」 その言葉に、奈左水は眉を曲げながら、首をかしげ…それから、彼の腰を軽く叩く。 「な、…」「はい、元気。元気。元気出していきましょう」 ビクンと跳ねると、奈左水がにこやかに笑う。 「じゃあ、まずは校内見学でもしましょうか。それから、どの辺りであなたのステージを作るのか、考えましょう」 |