=第三章・第十二部= |
チャイムが鳴り響く…。トイレ休憩は終わったようだ。 「あ、早いなぁ…、」奈々美は少しだけ膨れ面になる。 「ま、昭汰さん、見かけただけでもいいんじゃない?」 その表情に、久美は微笑み、それからナツと昭汰を見た。 「ちなみに、まだ残ってるんでしょ?昼休み、どうよ?」 「そうですね。…昭汰様、ご予定がございませんでしたら、お昼もいかがでしょうか?」 「あ、…」「どうせ、暇してんでしょ?こんな田舎じゃ、おばさんの店くらいだし」「…」 確かに…の事を言われると、やはり、口元を噛んでしまうが、…昭汰は、「暇で悪かったですね」とだけ、口ごたえてみせる。その素振りに、少しだけ頭を掻いてはいるものの、口元も目元も悪気もなさそうな笑みを見せながら、久美は、手を振った。 「んじゃ、ナツ。昼休みになったら、食道にいくからさ。後、案内をよろしく〜」 「承知しました」 そういう久美とついていく奈々美に、ナツは軽いお辞儀をして、教室へと消えていく生徒と共に見送った。 「…改めて、この学校、レベルが高そうだね…」 チャイムと同時に、もしくは鳴る前より、生徒は動き、…チャイムの音より1分と経たず、ガラリとする廊下。 「僕のいた男子校なんて、…もっと雑多だったからな…」 そう、うそぶく昭汰に、ナツは「ここには、自主性を重んじながらも、規律ある生活こそが、社会への適応。としております。時間を守る等の校則、を含め、生徒自分自身の行動をお互いに話し合い、より高い勉学と養育をしていく事にも、時間を設けております。そういった自覚がお互いにあるので、統率されているように見えるのでしょう」と、そこまで言い切り、昭汰を見た。 「私から見れば、やんちゃな子供たちにしか、思えませんわ」 |