=第三章・第十四部= |
「そういう事ですか…」それにナツはニッコリと微笑む。 「そんな事を考えておられましたとは、私もその点については、示唆もしておりませんでしたわ」 「…」 ナツの言葉に昭汰は小さく微笑む。 「でも、それでしたら、休み時間を使うのもありますね」 「休み時間?」 「はい、劇の方ですが、寸劇と合唱の準備の時間に30分ほど、それに催し物を行うクラスの人達にも見ていただけるよう、午前と午後に30分ずつ、その3回をこの食堂の一角で行うというのはどうでしょう」 「…なるほど、…」 ナツの言葉に昭汰は頷いた。 「そうすれば、全校生徒にも見てもらえる算段は取れるかな?」 「私もプロの手品師の技を見てみたいものです。テレビを通してでは分かりえないその不思議な技」 「はは…、ちょっと大げさですよ…。僕の技は大掛かりなショーじゃないですし」 「プロとしての技術を目の当たりにする事も、生徒達にとっても、大きな糧になりますでしょうしね」 「はは…は、…」 昭汰は思う…。 この町の住人は、やけに手品師を持て囃す傾向にある事を… でも… 「昭汰様、どうされました?」 手品をマジックという事に、この町の住人は抵抗があるようだ…。 「やっぱり、ここは…不思議な町だな…」 |