=第三章・第十五部= |
「お、やっぱり来てくれたんだ」 昼休みのチャイムと同時にわらわらと集まる生徒を窓辺の席でナツの用意してくれた定食を前に割り箸を割った昭汰に声をかける者がいた。 「どうも、…」 それは、室戸奈右闇で、その後ろには水沢久美に先ほどあった、九白奈々美。…それから、まだ見た事のない二人の男子生徒と一人の女子生徒。 「ナツは昼時、売店の手伝いだから、すまないね」 「いえ、困ってはいないですよ。なんだか、いたせりつくせりで、逆に申し訳ない…くらい…」 奈右闇の言葉に、少々気負いしながらも昭汰は笑う。 「いつもながら、謙遜な…」そう言って、奈右闇は隣に座っていく生徒達の方を見た。 「この人が、今度文化祭で手品してくれる栗本昭汰さんだ」 「知ってるわよ」 その言葉に、久美が分かってる分かってる、と笑う。 「ついでに、おばさんの家の常連ってのもね」 そんな軽口に笑うだけの昭汰を前に、奈右闇は少し微笑む。 「久美と奈々美にはあったんだったね。じゃあ、他のメンバーも紹介しとくか」 そう呟いて、手前の方から視線を向けた。 「まず、夏辺真吾と夏辺美矢。一応、双子なんだが、似てないよな」 そう言って、サングラスをかけた真っ白い髪の男子生徒に、久美に負けないほどのざんばら長髪の女子生徒を見た。 サングラスの方にいたっては、何か大きな事故でもあったのだろう、その左反面の皮膚が剥げ落ち、赤黒い様を見せていた。 その男子生徒が「夏辺真吾です。どうぞ、よろしく」と軽い会釈をするも、女子生徒はどこか軽蔑も含んだ視線だけを返した。 「そして、彼が杉村直也」 そして、奥側に座る、頬のこけたメガネの男子生徒を見ると、彼は小さく会釈を返すだけだった。 「まあ、親父達が親族みたいな仲間だね。飯はだいたいこのメンバーで食べてる」 「といっても、ナウは、めったに食いにこないじゃない」 その奈右闇の言葉に久美が小さく釘を刺した。 ただ、奈右闇はそれに笑い、昭汰を見た。 「どうだい、学園は?面白そうなところだろ?」 |