=第三章・第十六部=
=3日目=

 

「僕の通ってた高校とは、何もかも違いますね…。圧巻ですよ」
 正直の感想をもらす昭汰に、奈右闇は笑う。
「ま、好き勝手やってる校風もあるけどね」
「男子校で、好き勝手やってる部分もあったけど、…それ以上ですよ。ここ」
「男子校?はは、…それはちょっと興味惹かれるね」
 昭汰の言葉に、奈右闇がそんな言葉を漏らす。と、「げ、…」という久美の言葉が耳に入った。
「うへ、…ナウって男色家?」
「…アホか…」久美の言葉に、奈右闇は溜め息をつく。
「俺は純粋に、男だけが集まる学校の様相が興味がわくんだよ。男女が入り混じると、それなりのお互いに遠慮が生まれるからな。その分、男同士ならばの雰囲気ある校風って面白そうって、思ったんだよ」
 その二人のいさかいにもなりそうな最中、「ま、ナウの男色家疑惑は置いといて」と、白髪の男子生徒、夏辺真吾、が口を開いた。
「昭汰さんでしたね」
「は、はい」
 サングラス越しで望めない瞳を見返しながら、昭汰は返事を返した。
「学園祭、楽しみにしております。何せ、技術を学んだ手品師が来てくれるとは思いもしなかった。私もあなたの技術をじっくりと見させていただきますね」
 何度とない自分への[手品師]表現…。…そして、それが、昭汰の疑念を生む。

 「少し聞いてもいいですか」
   だから、昭汰は、思わず、口に出してしまった。
 「ここの皆さんは、[マジシャン]を[手品師]と呼びますよね。…なんで、わざわざ言い直すのです…?」


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