=第四章・第二部= |
「散歩?」 朝食を済ませ、兎萌が学校を行くのを見送った後、昭汰も兎萌の母親に告げて、町内へ出かけて、そう早くもなく、声をかけられる。 「あ、どうも…、そういえば、名前…聞いてませんでしたね」 「あら、そうだった?2回も顔を出してもらってるのに、…ごめんなさい」 田んぼ道に差しかかりかけた時に、彼女、喫茶店のオーナーに声をかけられるも、…そういえば、という感じで、昭汰は、彼女に名前を尋ねた。 「杉田知美よ」そういって、彼女は笑う。 「それはそうと、散歩?そちらは、田んぼしかないわよ」 「あ、ええ…まあ、散歩ですね」 町外れというわけではないが、一歩でも商店街を出れば、広がるのは田んぼと畑ばかり。 そんな中を点々とする民家を目安に歩いてみるかな?とも、思ってた昭汰へ杉田は笑う。 「じゃあ、少し付き合おうかしら?…開店なんて、たいして急ぎでしなくても良いしね」 「仕込みとか、いいんですか?」 「どうせ、土日か、夕方に学生がたまに来るくらいが普通よ…、気にしなくても良いわよ」 |