=第四章・第八部= |
「くぉらあああああ!!奈々美ぃいいい!!」 突如、強烈な怒声がドアベルの音をかき消し、ドンというドアの悲鳴が響く。 あまりの音に、もんどりうちそうになった昭汰を尻目に、名前を呼ばれた奈々美は平然とした…ようではなくて、先程よりもパクつくスピードが上がったような…。 その光景を見た、声の主はズンズンっと歩み寄り、奈々美の手をガッシと掴んだ。 「…久美さん?」 「今日は少し遅かったわね?」 昭汰の呟きを聞いてか聞かずか、杉田は、ふう、と溜め息を漏らし、久美をみる。 久美はというと、まだ開いてる片手でパクつく奈々美の両頬を右手で掴み、タコさん顔にしてから、自分の方へと振り向かせる。 「今日はまぁた、凝ったマネしてくれたわね…ぇえ?奈々美ぃい!!」 「てへっ」 「てへっ…じゃない!!あんた、いつの間に、私の足にロープ結んでんのよ!!それもご丁寧に鋼鉄ワイヤー入り!?どこで調達すんのよ!!よりによって、窓下の木に結ぶとか、どういう事じゃい!!」 いまいち、会話についていけない昭汰はあっけにとられたままでいると、杉田が笑う。 「この企画してから、毎回、奈々美ちゃんがケーキを全部食べちゃうからかな。あんまり、酷いって久美がお守りしてるんだけど、…ま、最近、巧妙な事して、撒いてるみたいね」 「撒いてるって…いうレベルですか?今の…」 「ですよ、おば様!!こいつ、二階下の木に結び付けてんですよ!!」 「ひしゃみちん〜、よほくにゅへぇれひゃね〜」 「奈右闇を呼んでもらったのよ!!ワイヤー斬り持って来てって!!ゲタゲタ笑ってやがったわよ!!」 なんだか、凄い会話だけど、…やってる様がなんとも低レベルっぽい言い回しに、少々飽きれる昭汰。を見て、杉田は小さく笑う。 「さ、落ち着いたみたいだし…、改めて、如何かしら?昭汰さん?」 |