=第四章・第九部= |
出されたケーキに少し渋めのコーヒーをセットに出される昭汰の横で、 ズゾゾゾ〜っとオレンジジュースを吸い上げる奈々美。 そして、制服姿のままの久美も座っていた。 「久美、今日は着そう?」 そんな三人を前に、杉田が話しかけると、軽く頭を振ってみせる久美。 「無理じゃない?文化祭の準備もあるし、…私もこいつも手伝いするんのに、…この馬鹿」 「ぶ〜、もう少し、粘れると思ったのになぁ」 「粘れるってどういう意味よ!!まったく…さ、いくわよ!!奈々美」 「え〜、もうちょっと〜」 「あのね、…真吾は許してくれると思ってんでしょうけど、…皆も一生懸命なのよ。それをあんたはさぼるの?」 「…、…分かった…。そだね、…ごめん」 そんな二人のやりとりを見ていた昭汰は、「…」と、口ごもり、…それから、「僕も行きます」と、言った。 「そうですよね、もう本番も間近ですし、…僕もいきなり、行くのも、…失礼ですよね」 その言葉に、周囲の三人は見合わせ、それから、久美がクスッと笑った。 「ようやく、プロ根性でてきたか。いいね、こりゃ、当日が楽しみだわ」 そんな久美の皮肉も少し混じった言葉に昭汰は「そうですね」と、微笑んでみせる。 「ふふ、じゃあ、奈々美と久美は先に行きなさい。昭汰さんは、出されたものは食べちゃって、それからよ。それと、久美、今から、昭汰さんが向かう事を言っときなさいね」 そんな昭汰の表情に、杉田は微笑む。そして、そう二人に言付けた。 |