=第五章・第三部=
=5日目=

 

 ラナの話では、[バンディッツ同好会]は、少数名のサークルという事である。
 まず部長は、室戸奈右闇。部員は、顔なじみでもある、水沢久美、九白奈々美、等…。非常に聞き覚えのある顔ぶれではある。
 そして、同好会の活動は、基本、奈右闇のみで行われているか、たまに奈右闇に手の余る事があれば、部員が代行するというもの。
 その内容は、簡単なPCメンテナンスや機械工事、アクセサリー作りやら、部活の部員応援、と言った。ある意味、学園での[なんでも屋]という事らしい。
 今回の昭汰が主催する舞台設置なども、この[バンディッツ同好会]がバックアップという感じで事が進んでいるようだ。
 そう、その言葉を聴けば聞くほど、…昭汰は、意気消沈していく。…

  「どうして…」

 解説を続けるラナの言葉を遮る気はなかったが、昭汰の口から小さくも、吐息のような言葉が漏れる。

「どうして、そこまでしてくれるのです?…私は、有名人でもない…、ただの名前も売れていない旅芸人…。」

 解説をとぎられたにもかかわらず、…昭汰の言葉へ、少々目を見開いて、少しだけ言葉を捜すような口元を見せていたラナ。だったが、スッと微笑みのラインを乗せる紡いだ口を見せ、その表情に満面の笑みを見せて、口を開いた。

 「昭汰さんが、お客様、であるからです」


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