=第六章・第五部=
=6日目=

 

 たぶん、これで4度目ほどであろう、この学園。
 少しは慣れたかと思う、心臓破りな階段に、やはり難癖つけそうになりながらも、上がりきり、…
 学園の正面玄関にと足を踏み入れた。
「お待ちしておりました。昭汰さん」
 4度目になると、やはり、少しは違和感が消えるかとも思ったが、学園にメイド服の女性達が応対し、その一人が自分に目を留め、深々とお辞儀を返す様は、やはり、学校と言う概念を消失させる光景であるな、…と、昭汰は頭の中で苦虫を噛んでしまう。
 そんな昭汰の心情を知らずだろうが、なんだろうが、彼の名前を読んだメイド、ラナは、ただただにこやかな笑みを返す。
「少し遅くなってしまい、申し訳ない」
「いえいえ、時間的には13分ほどですから、問題ありませんよ」
 忙しそうにしながらも数名のメイド達が、電話や生徒達の対応をしている様を見ると、もう少し早く…という心境になる。
「それに、開始のお時間には、まだ2時間ほど余裕がございますから、最終調整には問題ありません」
「え、まあ…、う、ん…」
 彼の心情汲み取ってか、ラナはそう言葉を続けるのだが、…どこか、萎縮を覚える昭汰に、「では、食堂の方へ参りましょう」と、彼女は言い、半身を引いた。

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