=第六章・第八部=
=6日目=

 

 ラナの差し出したシルクハットを両手に取り、クルクルと子供達の前で回す。
 縦に横に、クルクル、と…。

  さあ、中身はないね?

 と、見せてみせる。

 投げよこされる黒漆のステッキを受け取り、軽く一回転。
 そして、トン、とシルクハットの端を叩けば、

  パン!

 という、音と共に、シルクハットの中から、様々な国旗の並んだロープに花吹雪が吹き上がる。
 子供と混じって、奈右闇に加え、よく見知った生徒達が「おお〜」と拍手を上げる。

 吹き上がった国旗の端を掴んで、スルスルと巻き取っていきつつ、ステッキを再び、一回転。
 瞬間、ステッキが赤い布に姿を変え、巻き取ったロープにかぶせると、小さな兎のぬいぐるみに大変身。

 子供達は、目を輝かせ、拍手を上げる。
 奈右闇もまた、昨晩、目にしているにもかかわらず、素晴らしい、とばかりに、笑顔で拍手を上げてくれる。

 そんな光景を目に、昭汰は微笑み、ラナを呼んだ。

  30分と続いた演技も、もう、次で最後だ。


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