=第一章・第四部=

=[超時空要塞MACROSS/セレモニー]=

 

 ドドーン!!

「何事だ!!」
 マクロス艦司令塔からも見える大きな爆炎が海のほうからあがる。
「空母プロメテウス、大破撃沈!!応答ありません!!」
「早瀬君!民間人の収容は!!」
 爆音の響く空を睨みつつ、色黒の燻し銀の効いた男性…グローバル艦長は一人のオペレーター…栗色の長髪の女性に声高に問いただす。
「はい!もう数分ほどでで終了します!…!デルタ1よりイカルス小隊、B2地区に敵機進入。至急、迎撃に向かってください!!」
 その女性…早瀬未沙は艦長の答えを的確に返しつつ、 小隊への支持を行う。
「艦長!」直後、未沙の横の黒人オペレーターが艦長に顔を向ける。
「これ以上の防衛は無理です!敵の数が多すぎます!!」
 激を飛ばすような口火で語るオペレーターに艦長は「ぐぅ」と、唸り声を漏らす。
「仕方ない…」外の爆音を聞きつつ、しばし沈黙を保っていた艦長が、重い口を開く。
「民間人の収容は終わったか」
「はい!ただ今、完了しました!!」
 艦長の言葉に即座に返答する未沙。それに目深に被った帽子から眼光を覗かせながら、艦長はうなずいた。
「よし!これより、フォールドに入る!!各機関に通達!!」
「か、艦長!!」思いもよらない言葉だったのだろう。未沙は艦長に負けぬほどの声で問いただす。
「まだテストもしてないのに!!それに…」そこで息を切り、「異星人のシステムですよ…」
「やってもみないで諦められては困るな。フォールド座標は、月の裏側!そこで戦闘態勢を立て直す!!至急、ヴァルキリー部隊に帰還を伝達!!」
「は、はい!!」未沙は艦長の命令に答え、インカムを握る。
「こちら、デルタ1より全ヴァルキリー部隊へ!!本艦はこれよりフォールドに入る!!繰り返す!本艦はこれよりフォールドに入る!!」
 そこで一度、息を切り、「至急、マクロスへ帰還してください!!」と、言い放った。

「帰還命令!?」
 俺は、その指示に眉を歪める。S5エリアの制圧も順調だった。確かに残弾数に少々、心もとないものを感じ始めていたが…
「蝿もたかれば、…きついものがあるか…」
 背後に忍んでいた二足歩行敵機にガンポッドを打ち込み、悪態をつく。
「何をしている!!スカル7!!」いきなり、インカム越しに隊長の大声が響く。
「帰還命令が聞こえなかったか!!さっさとマクロスに迎え!!時間がないぞ!!」
「こちらスカル7。これより帰還します」

  くすぶる炎の満ちる町…、守るべき物を捨てて、いくのか…

 俺は、そんな事を思い、マクロスへの帰還を急ぐべく、ガウォークからファイターに変え、爆音渦巻く空へ飛びだった。


次に進む/読むのを終了する