=第一章・第五部=

=[超時空要塞MACROSS/セレモニー]=

 

「アームド1、及び2に着艦できない機体は、本艦の船体に着艦。待機をお願いします」
「間に合いそうにないな…スカル7、11、着いてきているな!!」
 マクロスの司令塔の指示の後、スカル大隊の隊長の声が耳に入る。
「こちらスカル7、まもなくマクロスに着艦します」
「こちらスカル11、マクロスに着艦しました」
 俺の応答後、インカムにスカル11の声も入ってくる。どうやら、彼も少し戻るのに遅れたようだ。
 隊長機の黄色ラインの横に赤色ラインのヴァルキリーがガウォーク状態で並んでいる。
「ところで…先輩…」俺がその横に並ぶように着艦した時、スカル11が隊長機に話しかける。
「フォールドって、何です?」
 …一時の間…
「輝〜、お前はよ〜」少々あきれた口ぶりの隊長の声が聞こえる。
 戦闘中に聞く、張り詰めた感じはどこにもない砕けた口調、…を、俺は聞くのは初めてではある。
「まあ、マクロスは上層部の機密事項にもなっていた訳だし、一介の兵が知らないのも無理はないか…」
「フォールド…とは?」
 俺も少し口を挟む。マクロスについては、確かに俺たちのような一般兵にはあまり知らされていない。
 一般知識としての、宇宙から飛来した宇宙船、そういったものだけだ。
「うむ、フォールドとは掻い摘んで言うとだな、空間転移…SFでよく使われていたワープというものだ」
「へえ、便利な機能ですね」
 スカル11が正直な返事を漏らす。
「このフォールドを使って、態勢を立て直すつもりだろう。…が、」そこで隊長が息を止める。
「元々、マクロスは大気圏外で活動していた宇宙船だ。この大気圏内でのフォールドは、…恐らく未知数ではある…さらに、このフォールドを行うこと自体、俺たちにとって、…初めてのことだ」
 隊長が言葉を切り、二人の返事を待つように押し黙り、最後に一言だけ告げた。
「覚悟は…決めておけ…」
 空の喧騒の中、…3人に静寂が訪れた時、周囲に違和感が生じる。
 マクロスを中心に光の球が現れ、周囲を包み込む。
「どうやら、始まったようだな…」
 隊長の声が最後に聞こえたような気がした。
 その時にはもう、光の発する不快音で耳がいっぱいになっていた。
 そして、

 数秒待たずして…俺たちを含む、マクロス周辺空域のものが一切合財…地球上から消滅することになったのだった。

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