=第二章・第四部=

=[超時空要塞MACROSS/帰還]=

 

 Piririririrrr...

「はい」少し安堵の漏れる中、黒人オペレーターが受話器を取上げる。
「………了解」
 隣りに立つ未沙が気付くだけの微々たる眉の変化を見せ、受話器を下ろす。
「艦長、技術班より報告です」
 神妙な面持ちのオペレーターにグローバルも…その周りのオペレーターも息を飲む。
「クローディア君、何かね?」
「フォールドシステムが消失したそうです」
 黒人オペレーター、クローディアの言葉に目を見開いた。
「ということは、私達…」ヴァネッサの横に座っていた東洋人的な顔つきのオペレーターの一人、キムの情けなめの言葉に「宇宙の迷子になっちゃったの〜!」と、飴色のストレートヘアーのオペレーター、シャミーが甲高い悲鳴に近い声を上げる。
 グローバルは視線を宇宙に向ける。あれほど爆発を放っていた空が落ちつきを取り戻している。
「艦長、敵残存兵力の全排除を確認しました」
 未沙がグローバルに戦闘の終了を報告する。
「…」艦長は未だ空を見つめ続け、…ある決断を口にする。
「ヴァルキリー部隊及び宇宙空間で活動可能なデストロイド部隊を使い、南アタリア島にある物資、一切合財を収容するんだ」
「い、一切合財ですか」
「そうだ、使える使えないではない!一切合財を収容するんだ」
「り、了解」
「他のみんなも早瀬君の作業を手伝い、できる事から取りかかりたまえ!!早急にだ。クローディア君は艦内に残る兵力の確認を行ってくれたまえ」
「は、はい!」わんわんと泣き出しそうな三人娘を一喝し、残ったクローディアに指示を出す。
 にわか忙しくなった管制室。それを背に…グローバルは愛用の木製パイプを取りだし、口に咥える。
「…」シャミーに進宙式にて[禁煙]を念押されていたので、ただ咥えるだけだが…その渋みのある瞳に影陰が落ちている。
「長い旅になりそうだ…」
 グローバルは、その一言をうめくように洩らし、ゆっくりと目を伏せる。

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