=第二章・第八部=

=[超時空要塞MACROSS/帰還]=

 

「一体、何ですか。先輩」
 食堂を後にした輝が横を歩くフォッカーに問いかけてきた。
「少しは気をきかせてやれよ」そんな輝の態度に、フォッカーが溜め息を吐き、輝を見た。
「あいつには、ああいう人間が必要なんだよ」
「えっ?」
 フォッカーの言葉に、輝が見上げる。クローディアも「あの残してきた坊やの事?」と、口を挟んだ。
「あいつの戦い方は、自分の命を的にして楽しんだ戦い方だ。あまり誉められた方法じゃない」
 フォッカーの表情は、輝にプライベートでしか見せない砕けた笑顔でなく、真剣な顔でもって、輝の質問について、答えを返してきた。
「今時点で、あいつの腕を失うには少々厳しいものがある。思っているほどの長い旅になりそうだからな」
「…そうね」フォッカーの言葉に、クローディアも沈痛の面持ちでうなづいてみせる。
「それで、何で俺が…いてっ!!」
「たくぅ、この馬鹿野郎。輝よぅ、そんなだからお前は良い女が見つからないんだよ」
 それでもなお、怪訝な面持ちでフォッカーを問いただす輝。瞬間、フォッカーがその頭をはたき、情けないとばかりに息を漏らす。その光景につられて、クローディアも微笑を見せた。
「とにかく、変な事につき合わせて悪かったな。あんまり、気にすんなよ」
 そういいながら、フォッカーは輝の肩を叩きながら、最後に大きく背中を叩く。
「なんだってんだよ」
 よろめいた輝はいまだ釈然といかない大きな溜息を漏らして、歩み去っていくフォッカーとクローディアの姿をしばし眺め、…
 やっと気を取り直したのか、頭を掻きながら、宿舎へと足を向けたのだった。

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