=第三章・第九部= =[超時空要塞MACROSS/変形]= |
「ヴァルキリー部隊全機、軸線上より退避を確認。マクロス変形、完了」 未沙は少し安堵をしながら、状況を報告。 「エネルギー充填まで後10秒、9、8、7…」 その横で、クローディアが言葉を続け、カウントダウンにはいった。 それを耳に前方の未だ広がる爆発を見据え、グローバル艦長はその言葉を待ち…待ちつづけ、…そして、その時が着た。 「0!」 「マクロスキャノン、発射!」 クローディアのカウント0を聞くやいなや、艦長は伝令を送る。 人型と化したマクロスの肩より伸びる二本の放電塔が唸りを上げ、その間に火花が飛ぶ。 その火花はしだいに強さを増し、放電塔の間に光のカーテンとなった瞬間、…音を上げ、前方に光の帯を放出した。 マクロス前方に伸びる光は敵機を巻きこみ、…そして消し飛ばしていく。 その光は遠く遠く…伸びていき…光消え去る頃、静寂に包まれた。 「やったわ〜」 シャミーの甲高い声が中央オペレーター監査棟に響く。 「敵戦力、80%減、敵艦隊、撤退を始めました」 ヴァネッサもつられて、というわけではないものの、少しばかり嬉々とした声で答える。 そんな中、…艦長は面を上げず、騒然とする棟内が落ちつくのを待っていた。 気配を感じたのだろう、…喜んでいたシャミーも、押し黙る。 「シャミー君、追撃をしなくても良い。全機、帰還の指示。早瀬君は、至急艦内の損害状況を調べてくれたまえ」 「…はい」「はい」 少しばかり、消沈気味のシャミーと沈痛な面持ちでの未沙が返事を返し、インカムを手に取る。 その光景に艦長は、座席に深々と座りなおし、…目元を隠すように、帽子を被りなおす。 …それは、このような事態に誘ってしまった民間人を…、再び、巻きこんだ事への、追悼の念を込めるように |