=第三章・第十部=

=[超時空要塞MACROSS/変形]=

 

  バキィ!

 ヴァルキリー格納庫に響き渡るほど、強烈に繰り出された拳が音を上げ、俺の頬を直撃する。その衝撃に耐えられなかった体が浮きあがり、地面へと叩きつけられる。
「…なんで、殴られたか、分かるか…」俺を殴りつけたスカルリーダー…ロイ=フォッカー…が肩で息をしつつ、突き出した拳を引きながら、未だ怒り収まらないように声震わせている。
「命令違反だ。本来なら、このまま営倉にでもぶち込んで、一週間の断食にでもしてやりたい所だ」
 頬の痛みに少し立ち上がれない俺の胸倉を掴み、面を合わせるように引き上げる。
「だがな…、敵は待っちゃくれない!手前、一人の命じゃないんだ。そこの所、十二分に承知しておけ!!…分かったな」
「イ、エッサァ…」
 そのフォッカーの顔を見つめ、一言だけ返すと、睨みつづけるフォッカーは突き飛ばすように俺の胸倉を離し、息荒く、その場を後にした。
「…お前、…何したんだ。」
 入れ替わるように…俺に近づいてきた輝が、独り言を呟くように尋ねてきた。俺はそれに頬を軽く押さえながら、「別に…」と、だけ答えてみせ、起き上がり、頬を押さえる。ただただ、頬の奥、殴られた側の奥歯が…妙にうずくのだけが…収まらなかった。

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