=第四章・第四部=

=[超時空要塞MACROSS/アポロ小隊]=

 

 何度とない攻防戦。冥王星からこの土星に至るまでに…ゼントラーディとの戦闘が続いた。
 飽くなき閃光が空を舞い、…星の瞬きを思わせるように散っていく。
 落ちるのは、彼らばかりではない。疲弊していく俺達にもあった。
 知っている仲間が減っていく中、俺はまだ生き残っていた。
 黄色く妖しく輝く土星。龍の瞳を思わせるそれは、魂を舌舐めずりたいと輝いているようだった。
 ブルースの言葉「スカル大隊のスカルフェイス」を今更ながら、思い出す。…自然と苦笑が漏れる。

 死神は俺じゃない。死神は…空にいる。
 ほら、そこに輝いているのが、死神の眼差しさ。

 宇宙空間の真空空間では音は存在しない。着弾はレーダーの撃墜マークと視認できる閃光が示している。
 光の海に埋もれ、…死神の鎌が徐々に忍び寄る。…が、
「こちらアポロ2、E5エリアの掃討に完了。続いて、B2エリアに進行」
「アポロ3です、B2エリアはやってるぞ。E4に回ってくれ」
 二人の部下の息の無さに頭を抱える。死神もこれでは、なかなか現れないようだ。
「アポロ2、3、いい加減にしろ。3は2のサポート、2は俺の後ろを守れ」
「了解」「3、了解」
 溜め息を吐きつつ、目の前の敵に視線を向ける。
 次々と現れる敵の山に先制迎撃は本当に意味があったのだろうか、とも思えてきてしまう。
「デルタ1より緊急指令!」突如、インカムに響くオペレーターの早瀬の声が響く。
「マクロス右舷に敵艦のフォールドを確認。敵艦より艦載機多数出現、スカル大隊は至急、迎撃に向かえ!」
「こちら、デルタ1。アポロ小隊に連絡」早瀬の指示の後、続いてエマの声が響く。
「現在、敵機がマクロス市街地への侵入を確認。至急、帰艦。ただちにこれを排除してください!!」
 エマの声に…一瞬、口を紡ぐ俺。…引きずっている訳ではない。
「アポロリーダー?」
「いや、すまない。アポロリーダー、了解。これより帰艦、迎撃に移る」
 俺は、そう指示を出し、…インカムを切りかえる。
「アポロリーダーより、2、3。これより、艦内に戻り、侵入した敵機を掃討する。急ぐぞ!」

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