=第五章・第一部=

=[超時空要塞MACROSS/土星]=

 

「ご苦労様です」着艦すると、作業員が待機しており、タラップを迅速に立てかけられた。
「これから、別機体に乗って、行動してもらいます」
「機体をか…変な機体じゃないだろうな…」
 タラップを降りた後、皮肉混じりに作業員に話しかけると、「変な機体かもしれませんね」と、これもまた、早瀬のように苦笑を返す。
「おいおい、動かしづらい機体じゃないだろうな…トラックタイプとか」
「これから、アポロリーダーには、探査ヴァルキリー機[エリントシーカー]に乗っていただき、土星のリング内での敵旗艦の探査にうつってもらいます」
「エリントシーカー?あれで敵内を飛ぶのか?」冗談じみた言葉をつきながら歩ていた俺は作業員の説明に眉を曲げる。
「非武装機じゃないか。護衛はつくんだろうな…」
「いえ、残念ながら、現状況では無理ですね。ですから、今できうる限りの即改造を施しました」
「なるほど、確かにそれは変な機体だな…」
 その説明を受け終わった後、俺は、今から自分の乗る事になる機体の前に立つ。
 基本的な構造は、通常のヴァルキリーとは変わらないが、違うのは、そのバトロイドの頭部が望遠レンズを搭載したカメラと背中に背負うレドームであろう。
「これがバトロイド形態になったら、滑稽なキノコオバケだな…。相手も引くんじゃないか?」
「…かもしれませんね」俺の言葉に作業員も僅かに笑顔が漏らすもの、真顔に戻り、機体の説明を始めた。
「装備はガンポッドとノーマルミサイル両翼合わせて十二発のみです。残念ながら、構造状の都合でマイクロミサイル兵装を兼ね備えたファーストパックが装備できませんし、非戦闘員の探査オペレーターにも同乗してもらいます」
「重大率も高く、機動性と攻撃力も厳しい上、同乗者も気遣って行動しろと言う事か、今までにない厳しさだな。これは…」
「無理を言ってすいません」
 機体を見上げている俺の感想に、作業員が口元くぐもらせながら、謝った。
 それに、俺は失笑を洩らし、タラップの手すりを手に取った。
「いいさ、こういう任務に俺を指定したんだろう?買い被りであったとしても、俺はこの任務を全うさせる義務があるさ」
 俺はただ笑い、タラップを手にとると、「発進準備に入る」と、宣言した。

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