=第五章・第五部= =[超時空要塞MACROSS/土星]= |
死神の警告は正しかったのは、言うまでもない。いや、死神は揶揄というものだろうか。 今はどうでもいい。戦いの火蓋は、エマのコールで始まった。 「敵機、12時方向に確認!」 「あれ…か!」 氷塊の海を飛び、十数分。俺達は念願の敵機を見つける事ができた。 その機体は、今までにあった三角錐の小型戦闘機や二足歩行ポッド、そして、パワードスーツでもない。 俺達の身体サイズで言えば、探索機らしいアンテナはあるものの、中型艦ともいえるほどの重装甲戦闘機。 一昔前にもてはやされた円盤型にも見えるが、後部には高い推進力を持っていそうなノズルにぐるりと砲台やミサイル口が所狭しと並び、特に目を引いたのは前方に装着された大型のビーム砲台であった。 「…あの機体から、強力なジャミング…妨害電波が発生されています。あの機体のせいで、敵旗艦を見つける事ができないようですね」 「つまり、あれを落とせば、俺達の勝ちと言うわけだな」スロットルをさらに引き、加速する。 「お喋りは終わりだ!!いくぞ!!」 とにかく、装備にあまりにも格差がある。今持てる最大攻撃力のミサイルを素早く打ち込む事が必要だろう。 「もちろん、相手も気付いているだろうがな…」 これほどの近距離にならなければ、探査できないほどのジャミングを持つ戦闘機だ。 無論、俺達の機体にも感づいていただろう。 それでも、今は先手を取る努力をするしかない。リミッターを振り切るようにバーナーを吹かし、さらにサイトの中に敵機への標準を合わせる。 ロックオンが耳に響き、間髪入れず、二発のミサイルを発射した。 ミサイルを打ちだしてから、その軸線より離脱する。氷塊に気をつけながらも、そのまま、敵機へ直進するミサイルをレーダーで確認しつつ、時を待った…。 爆発光が後方で輝き、直後、「やった!」と、エマが声を上がる。しかし、そんなエマの言葉に惑わされない。着弾前に打ち落としたのだろう、爆煙が四散すると、敵機は健在で悠然と遊泳を続けていたのだった。 俺は確認する前にガウォークで制動し、機体を反転させる。その時には、敵機も、こちらへ砲身を向けていた。 「ダンスパーティの始まりだ。代金は自分の命か、相手の命か!片方払いのな!!」 |