=第六章・第三部=

=[超時空要塞MACROSS/ゼントラーディ軍]=

 

「…」
 エマが退室してくるのを、俺は執務室の前で待っていた。そして、エマが出てくる。
 彼女は少しだけ驚いた表情を見せ、俺の方を見た。
「君に…謝っておこうと思ってね」俺は少し困惑したままのエマの顔を見ながら、口を開く。
「君は俺達の隊のオペレーターだからね。機嫌を損ねられて、指示が上手く伝わらなくなるのも怖いからね」
「そんな事、ありません」俺の言葉に、どこか少しだけ、残念そうな表情を見せ、苦笑いともすねたようにも見える表情を浮かべるエマ。
「いくら気分の悪いことを言われても、指示まで歪めるなんて、オペレーター失格ですよ」
「…確かに」そのすねるエマの顔を見て、俺は少々胸を撫で下ろし、肩を軽くしゃくってみせる。
「あまり、俺の言葉を気にかけていないようだから、良かったよ。じゃあ、作戦でな」
「私、…」俺がエマの前から立ち去ろうとする直前、彼女が言葉をかける。
「私はあなたが無事に戻ることを祈っています。例え、あなたに煙たがられようとも…私は貴女の無事を待っています」
「…それは、マクロスを守ることって事でいいな」
「含めてです」
 彼女に返した俺の言葉に…即答する。…立ち止まり、エマの方を軽く見る俺。
 しばらく、固まっていた俺達だったが、「勝手にしろ」とだけ、俺は言い、背を向けた。
 背後から彼女の視線を感じながら…、艦長室の前を後にした。

 彼女の姿も、部下の姿も、誰も彼も見えない通路を歩く俺。
 その表情に…影が落ちていく。

 …
 作戦は1時間後、…再び、死神のうごめく時間が…クル。
 …

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