=第六章・第五部=

=[超時空要塞MACROSS/ゼントラーディ軍]=

 

「進入より5分経過。現在、視界と光景以外は全て良好。問題ありません」
「こちらアポロ3、外周よりのスキャニング、生存反応は見受けられません」
「アポロリーダー了解。それでも、警戒は怠るなよ。2、3」
「了解」「アポロ2、了解」
 中枢区間への道程は意外なほどに静かだ。…宇宙空間であるから、音の反響があるはずもないが、…それが微妙に癪に障った。
「アポロリーダーよりデルタ1へ、進入より7分経過。依然、状況変わらず。…歌でも歌っていいか?」
「ちょ、ちょっと、…おふざけが過ぎます」
「ふん、冗談だ…その気になるなよ」
「そうですよ。いちゃいちゃはよそでしてください」不意に俺とエマの通信に割り込むヴァネッサ。
「一応、私も記録してるんですから」
「イチャイチャなんて…」ヴァネッサの言葉に指をこねるエマに俺は苦笑を漏らした。
「まあ、ポイントまで後一分程だ。気を引き締めて、記録してくれよ」
「デルタ1よりアポロリーダー、そちらもトラップには、十分、気をつけてくださいね」
 頬を膨らまし、視線を逸らしながら、エマが指示を出し、サイドモニターを閉じた。
「トラップ…ねぇ…」エマの最後の言葉に、自嘲にも近い苦笑を漏らし、もう動いていないインカムへ呟いてみせる。
「なんだ、エマも気づいてたのかね…、この静けさの不気味さで…」

  マア、オアソビハ ココマデ カナ

 不意に声が響く。…聞きなれた声だった。
「なんだ、やっぱりあるのか?」
 俺は、心の中に呼びかけながら、ラダーを切る。
 目標ポイントまで直線500m、その先に扉が見えた。
「アポロリーダーより、2、3」インカムへ咳払いを払い、一呼吸を置く。
「これより、目標地点へ到達する。警戒を最大にしておけ。敵がいつ出てもいいようにな」
「えっ、はっ、了解」「…了解」
 一瞬、二人の言葉に遅れがあったが、些細なことだ。
 ガウォークよりバトロイドに変わり、ポイントの扉の前に降り立つ。
 バトロイドの手を伸ばし、…扉のボタンに手をかざす。
 手の圧力を感じたボタンが動き、扉が開かれる。
 中は十数台ものモニターが並び、天井を突き抜けんばかりのコードが壁にひしめき、まるで蔓な様を見せていた。
 そして、中央には、天井まで届く柱にも似た巨大コンピューターが並ぶ…。
 その中へ、俺は一歩踏み入れる…。
「画像データ確認、データ転送開始します」
 頭部のカメラでもって、辺りを探る中、ヴァネッサの声が、耳に届く。…

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