=第六章・第六部=

=[超時空要塞MACROSS/ゼントラーディ軍]=

 

  ブブン…

 真空の中で聞こえるはずもないが、不気味な鳴動を起こすように…モニターの一つが光った。
「…」
 息を整え、左右に再度、ゆっくりとバトロイドの首を振った。
 反対側のモニターもまた、点灯しており、…帯を引くように奥へとモニターが輝きだす。
 そして部屋内のモニターが点灯し…部屋の奥にあった…コンピューターに不気味な蠕動と白光が起きた…。

 −…デブラン・トォ・…ケルカスタ…ウ・ケルト

 不意に、…受信機が…、意味の分からない何かを受信する。

 −…ホルト、…テルネスタ…タルニ、ガドラダガン

 艦内放送…、のようだ。…俺はその言語の意味が分からない…が、直感した。
 バックステップを踏み、部屋を飛び出す。
「アポロリーダー!!」慌てるヴァネッサの声が耳に届く。
「すぐに脱出を!!その艦が自爆します!!」
 ブービートラップ。…マクロスが初めて主砲を撃ち、それが元でこの船団との戦闘になった。
 そうまでして、しのぎを削る相手同士なのだ。この艦にもそんなトラップを仕掛けられていても不思議ではない。
「艦内の熱源の増大を確認。予測では三分。急いで退避してください!!」
「もう、してるさ!!」
 エマの追信にどこか罵りを込めて、俺は言葉を吐き捨てながら、ガウォークで来た道を折り返す。
 ほんの少し前まで、死んでいた…そう、そう思わされていた。
 艦内に電源が灯り、自動防衛システムが稼動され、至る所に備えつけられた銃口が息を吹き返し、光線が掃射される。
「うわ!!」掻い潜り避けつつ、逃走劇をくりひろげる俺の耳にアポロ2の驚声が響く。
「か、艦内から敵ポッドが!!」
「アポロ2、3に直ちに合流。艦外にて、敵の掃討に入れ」
「こちらデルタ1。直ちに待機しているヴァルキリー部隊を発進!!」
 インカムの送信に合わせ、マクロスからの支持が錯綜する。本隊も、まさかの事態を想定してはいたにはいたようだが、…甘さがあったのだろう。アームド1、2に送信する内容がこちらにも流れ込んでくる。
「アポロリーダー、急いでください!!」
 その中、エマの声が届く。「後、二分!!」

 −デブラン トォ ガドラダカン 、… ケルカスタ! ブリタイダカン、 タルニ ウケイ

「ちぃっ!!」
 近道となると思い飛び込んだ部屋に、蠢く機体が目に入り、傍受通信にも近いその巨人族の言葉が耳に響く。
 そして、…その銃口が俺に向いた。
「邪魔だ!!どけぇ!!」
 俺は、軽く逆噴射しながら、ガウォーク状態でガンポッドを乱射した。

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