=第六章・第七部=

=[超時空要塞MACROSS/ゼントラーディ軍]=

 

「隊長はまだか!!」艦外に脱出してくる最後の一機を打ち抜いたアポロ2のブルースの声がエマの耳に届く。
「まだだ、こちらでは確認していない」アポロ3のエディの声も、聞こえた。
 一瞬、インカムを握り、アポロリーダーの回線を開く。

 −「君の声は、俺の中の死神を鈍らせる。頼んだぞ」
 あの時の言葉が響き、…開いた口から音が出ないエマ…。
 祈るように、手を組み…うつむき、震える。
 最後の通信で聞いたアポロリーダーの言葉に、…彼が戦闘になっていることを知っている。
 だから、…今は…
「予定時刻まで後30秒!!」
 ヴァネッサの警告が耳に入った瞬間、…エマの体が跳ねた。
「アポロリーダー!!」
 インカム越しに、切なる想いの声をぶつけた。
「おい、俺の耳を殺す気か!!」瞬間、その想いの声に対して、同じ程の怒声がエマの耳に返ってきた。
「たくっ、!!管制が下手なシャミーと同じ真似する気か」
「アポロリーダー、無事だったんですか!!」
「もう、船外への出口が見えてるさ。…なんだ、やっぱり、いない方がいいかい?」
「…そうじゃ」「隊長!!」「早くしてください!!部分部分で爆発が始まってます」
 皮肉の言葉に、慌てるエマの言葉をさえぎる様に、アポロ2、3の通信が割り込む。
「分かってる、もう、そこまでだ。土産は無しだがな」
 その言葉と一緒に内部爆発を始めた敵艦から、ノズル光が伸び、離れていくのが、マクロスからも確認できた。
 そして、数秒と待たずに…敵艦が巨大な火の玉のように赤く膨らみ…、深遠の闇へと消えていった。
「こちら、アポロリーダー。任務終了。これより、帰還します」
 何もなくなった宇宙を見つめ、エマは自然と目の端に溜まった涙を拭う。そして、…インカムに手を添えた。
「こちら、デルタ1。了解」

 結局、自爆により跡形もなく消し飛んでしまった敵艦であったが、…その中の情報は…少なからず、俺達に相手の事を教えてくれる手がかりとなった。
 敵は俺達以外にも争う相手がおり、そして、その戦闘はこの太陽系圏内に及んでいること。敵は、何をなくとも…相手を叩き潰す事しか考えていないこと…。そして、…人類が今まで行ったあらゆる戦争の歴史を足しても足りないほど、長く長く戦闘を続けていた種族であること。
 俺達は、今、そんな種族を相手にしている事が分かったのだ。

次に進む/読むのを終了する