=間章・第四部=

=[コーヒーブレイク]=

 

 店を後にして、宿舎に着く頃には、フォログラムが夕日に代わっていた…
 その宿舎の玄関先を前にして、俺は立ち止まる。
「…」その玄関にエマが立っていた。
「悪かったな」
 少しだけ思案し、それから、エマの前に立つ。そして、見上げ、口を開きかけたエマよりも先に、俺が口を開いた。
「先に帰ったことは謝る。悪かったな」
「え、…え、…」
 戸惑い、目を白黒させるエマの表情に、苦笑が漏れた。
「正直、ああいう場所は行った事がないからな…、慣れてない場所じゃ、気分も悪くなるって事さ…」
「あ…はい、…えっと」
 戸惑い続けるエマの表情が面白いので、しばらく見ていようとも思ったが、だんだんと頬が膨れていくようなイメージが浮かぶ。
「侘びに一杯、コーヒーをおごる。それでいいかい?」
 彼女の前から再び一歩進み、宿舎のガラス戸を押しながら、彼女へ問いかける。
「…」
「嫌ならいいが」
「いえ、もらいます」
「じゃあ、入れよ」
 そう言って、彼女が入ってくるのを待っていた。
「それ、なんです?」
 あれよあれよと話を進められ、焦りを見せながらついてきたエマだったが、俺が手に持つ大きな荷物に目をつけ、話しかけてくる。
「男の生き甲斐、と生き様。お前には理解できないものさ」
「男女差別ですか」
「差別じゃない。男だけの特権って事だ」
 軽く頬を膨らませて、後をついてくるエマに一瞥を見せながら、…言葉を続けた。
「後、このマクロスを守るための、大切な駄賃って事さ」
「え…」
「…マクロスは、必ず、守る。戦うだけじゃない…ここには、守るべきものが増えた…」
「…、…はい、がんばりましょう」
 エマは、少しだけ置いてけぼりを食らったような思いも受けたものの、それでも…笑顔を見せて、大きく答えた。
「がんばって、…サポートしていきます」

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