=第七章・第四部= =[超時空要塞MACROSS/火星[MARS]]= |
火星。そこを昔の人間は、[軍神]の星と呼んでいた。 戦を掲げる人々の礎であり、戦の勝利を願う星。 今、その星の上で、戦闘が行われている。 ここは言うなれば、神の膝の元、… もしも、惑星が勝利を望んでいるのならば、… それは人類の滅亡だとすれば… 火星は、どんな答えを提供してくれるのだろうか。 [軍神]と呼ばれた星は、…どんな答えをくれるのだろうか…。 −−−−−− 「アポロ2、こちら、反応ありません。掃討完了」 「アポロ3、敵掃討を完了しました」 先方隊の打ち漏らした最後の敵ポッドをガンポッドの掃射で排除した俺の耳に、二人の声が届く。 「デルタ1、こちらも掃討完了。アポロ小隊周囲には敵機確認できない」 俺の言葉に、サイドモニターが開き、エマが顔を出す。 「デルタ1よりアポロ小隊へ、こちらのレーダーでも確認できません。任務しゅ…えっ、キャア!!」 ほっとした表情のエマの顔が一瞬にして、険しくなり、悲鳴が響く。瞬間、マクロスの上を強力な閃光が通過した。 そして、その光の筋を、俺は一度見た事がある。 「アポロ2、3、緊急発進!!マクロスに向かうぞ!!」俺は指示を待たずに、二人に指令を出した。 「あいつら、とんでもないのを!!呼びやがった!!」 俺は、そう毒づき、今の装備を呪いながら、鈍足の機体のバーナーを吹かす。 敵が持ち出したのは、氷塊での戦闘で遭遇した重攻撃機にも似た、それであった。 「先方隊は、カムフラージュ。こちらが本命って事か」 「隊長!」 冷静に状況を判断するブルースと慌てたエディの声が耳に届く。 「くっちゃべってる暇はない!!急げ!!相手の主装備に対して、マクロスの装甲なんぞ、紙のようなものだ!!」 「りょ、了解」襟を正させる一括をエディにぶつけ、限界まで踏み込んでいる足をさらに踏み入れる。 そんな中、脳裏に…死神の笑みが見えた。 「ふざけるな、死神。…てめえの思い通りにさせてたまるかよ!!」 探索レーダーに、重攻撃機の機影を捉えた。自動検索サイトが画面端に浮かび、…徐々に機影に標準をあわせる。 長い長い…とても長い間隔、いつもとは違う…その長い標準合わせに俺の指が苛立ちを覚えた。 「くそ、くそくそ、くそくそくそ!!」そして、標準が合わさり、ロックオンの信号音が響く。 「マクロスは守る!!それが俺の使命だ!!」 自分でも、何を叫んでいるか、分からない絶叫と共に、ミサイルのトリガーを弾く。 装甲板が間髪開き、通常のミサイルとは違う徹甲弾ミサイルが発射される。 しかし、…標的の距離があったせいだろう。重攻撃機に追いつく前に打ち落とされた。 「アポロ小隊、敵の重攻撃機、三機を確認。アポロリーダー、落ち着いて!!マクロスにはピンポイント・バリアーシステムがあります。あなたになら、できます。私達の心配より、敵を!!」 「!!、…」 エマの通信に、そのピンポイント・バリアーシステムの言葉に、…俺は自分が、取り乱していた事態に気づく。 ピンポイント・バリアーシステム。それは、マクロスのフォールドシステムの消失によって生じた余剰エネルギーを使った防御エネルギー壁を発生させるシステムである。ただ、マクロス全面を防ぐことはできる程のエネルギーはなく、半径数mを防ぐ防御エネルギー壁を作り、移動させる事で攻撃を防ぐというものだが、…生身でさらし続けていた当初に比べると、格段にマシといえる防壁である。 「…すまない、そうだった…、…」 「アポロリーダー、今は集中してください。私は、あなたを信じています」 「ありがとう、エマ…」 エマの言葉に、自分の暴走を恥じ、…そして、正面を見据える。 「アポロリーダーより2、3。任務変更、これより敵重攻撃機を撃墜に移る。敵の砲撃網は凄まじいぞ!!とにかく、一機ずつを確実に落としていく。いいな!!確実に一機ずつだ!!」 「了解」「3、了解!」 |