=第七章・第五部=

=[超時空要塞MACROSS/火星[MARS]]=

 

「あの子、変わったわね…」クローディアが小さく呟く。
 戦火は、マクロス周辺に移り、火星での燃え上がる夕日と共に、強烈な爆光と轟音が響く中、遠い目をする。
 三機のアーマードヴァルキリーが飛び、…連携を組んで、重攻撃機を攻撃する。
 そんな様を見て、彼女は…感極まったように…目に潤みを覚えた。
「ロイ、…あなたが心にかけていた事、あの子にも分かったようよ…」
 そして、軽く目元をぬぐい、…目元を引き締め、モニターを見た。
「艦長、資材搬入と民間人の収容が終了しました」
 モニターの情報を読み取り、後ろに待機するグローバルへ言葉を投げかける。…その言葉に、グローバルは軽くながら、首を縦に振った。
「よし、アポロ小隊、およびバックアップできる部隊を除くヴァルキリーの収容を急げ!!周回する敵を排除後、直ちに発進する」

  …ドゴォーン

 爆音が上がり、また一機、重攻撃機が落ちていき、…空中で爆炎として、消える。
「よし、後一機だ!!」
 エディの声が響く。つくづく、あいつの声は響くと思った。それが良い意味であれ、悪い意味であれ…
「エディ、気を抜くなよ」
 俺の叱責と共に、残る一機の重攻撃機の砲門が輝く。
「くっ!!」
 レバーを引き、急速旋回をかけると、今いた位置に強烈な閃光が通り過ぎる。
「両機、徹甲弾は残っているか」
「3、残弾、マイクロのみです」
「2、残弾、ノーマルが6発、残りはマイクロです。残念ながら、徹甲弾数はゼロです」
「そうか、…」二人の答えに、俺は舌を打つ。俺自身も取り乱して放出した一発を悔いた。
「これより、フォーメーション12に移る。2が要だ。そのノーマルを外すなよ!!」
「隊長!」俺の言葉にエディが驚く。
「3、うまくやれよ。いくぞ!!」
 エディの言葉を断ち切るように、俺は既に鎧としてしか用を成さないアーマーを切り離し、最大推力を持って、重攻撃機に接近する。
 ロイ・フォッカーが最も好んで使った作成コード、フォーメーション17。撃破する敵機を決め、一機が先行し囮となり、後衛機がこれを撃破する。フォッカーの場合は、後衛に七機がいたため、1on7…17になるが、アポロ小隊は1on2になるため、12となる。
 もちろん、無謀からではない。…今、俺は自分を試すために、…死神を振り払う…そのために、俺はこの作戦を選んだ。
「俺の命をお前達に預ける。任せたぞ!!」
 サイドモニターに映る二人に笑いかける。
 真意定かではないが、…エディとブルースの顔が引き締まり、俺の目を見た。
「2、了解」「3、了解。全力でサポートします!!」

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