=第八章・第一部=

=[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]=

 

「あれ?」不意に通信システムを点検していたシャミーが疑問符の声を上げる。
「艦長、今変な通信がきたんですけど〜」
 彼女は、頭をひねらせたまま、振り返り、その事を艦長に連絡を入れる。
「シャミー、要点が抜けているわよ」
 火の着いていないパイプを持ち直して、ヤレヤレと溜め息を吐く艦長に、あきれた溜め息を吐いてみせるクローディアを見て、しまったと舌を出すシャミー。
「えっとですね、フォールド通信なんです。…見た所、…私達の言語ではないんですけど、発信元は地球のようです」
「地球?」
 その単語に艦長は反応し、「統合軍からではないのか?」と、問いただした。
「ええ、です…ね…」シャミーも、…眉をひそめながら、繰り返す。
「解読はできないのかね?」
「えっと、微弱なもので…発信内容も途切れ途切れで…あ〜ん、もういや〜!!」
 一応、何とか試みたようだが、シャミーが癇癪を起こした。その行動を目の当たりにしたクローディアも、再度溜め息を吐いてから、艦長を見た。
「発信源は捕らえているのだから、まずは向かう方が良かろうな…」
「敵の罠かもしれませんよ」
 艦長の言葉にクローディアが慎重を促す言葉を告げる。…その言葉に艦長は閉口し、パイプの表面を指の腹で撫でながら…思案する。
「…これほど、近くにまで地球に近づいてなお、…統合軍に送る傍受性の薄い通常暗号通信の応答がない今、…罠だとしても…、その場に行くべきではないのか…と、思うのだよ」
「………」
 その艦長の言葉に、…クローディアを含むオペレーターが口をつぐんだ以後は、押し黙る艦長は、…もう数日もすれば、地球が視認できる…宇宙空間を眺めていた。

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