=第八章・第二部= =[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]= |
「隊長!」 管制塔に謎のフォールド通信が届いてから数日後、アポロ小隊は、先行哨戒任務を遂行していた。 その最中に、後部を飛ぶエディが声を上げた。 「…わかっている」エディの声の意味は、先頭を飛ぶ俺にも見えていた。 「…くそ、…」 目の前に浮かぶ赤茶けた惑星がある。火星とも似た惑星…。しかし、その惑星には見慣れた衛星があった。 俺達が「月」と呼んでいる見慣れた衛星…。つまり、この惑星が…変わり果てた「地球」なのだと…。 地球を離れて一年と少し…。たったそれだけの時間だ…。 なのに、俺達の住んでいた世界は、ゼントラーディの攻撃で姿を変えた。 二千年以上、いやそれ以前からも人間達は争い、その地球上で戦火を上げていたが、その比ではない。…ここは、死の惑星となったのか…。 「…こちら、アポロリーダーよりデルタ1へ」疑念を振り払うように頭を振り、マクロスへ通信する。 「これより、地球に先行探索に入りたいと思うのだが、…了承してもらえるかな?」 「えっ?…」通信向こうのエマが軽く驚く声を漏らす。…軽く通信が切れて、再度エマが回線を開いた。 「こちら、デルタ1。アポロリーダー、地球圏内の突入を許可します」 「ありがとう、…アポロ2、アポロ3、マクロスへ先に帰艦してくれ」 「隊長、我々も!!」「…迷惑をかけるな、アポロ3。リーダー、ご武運を…」 血気盛んなエディに対して、ブルースが諌める。 「すまないな、二人とも。マクロスの緊急事態の際は、エマの指示で他小隊の尻についてくれ」 俺はそうとだけ告げて、…二人を映すモニターを閉じると、ほどなく、後ろを飛んでいた二機が反転し、…マクロスの浮かぶ空域へと消えていった。 「こちら、アポロリーダー。大気圏突入コースに入る」 「こちら、デルタ1。確認しました。大気圏内に入り次第、こちらの指示をするポイントに向かってください」 「…?」重力下では重量となる宇宙空間を航空するためのファーストパックを切り離し、大気圏突入のためのキャノピー防護壁を展開しながら、エマの指示に疑問符を浮かべる。 「突入地点近郊の統合軍基地ではなく、…ポイント?」 「え、え…ザザ…ザ……」 俺の質問が雑音に途切れる。地球の大気圏内に突入を敢行した為、その高温と重力加速での通信阻害が発生したのだろう。 「…この状況では、…確かに基地もないか…」 大気との摩擦で生じる轟音の中、…小さく呟き、先程の地球の状況を思い浮かべる。 大地は全て焼き払われ、緑もないに等しかった…。海は戦闘の後遺症だろう…土色に染まり、大地との判別も難しかった。火星で見た…光景をこれから見ることになるのかもしれないと、…感じた。その疑念を振り払うように首を横に振る。 |