=第八章・第六部=

=[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]=

 

 町は光り輝き、当て所ない様の人々が行きかい、賑わっている。
 1年も経たずに確立した町の中には、軍以外の職業も運営されている。
 その資材のほとんどは、フォールドによって一緒に宇宙へ投げ出された島の産物で出来ていた。
 まず、商店が始まり、会社ができ、テレビ放送も始まり、アイドルも生まれた。
 子供が駆け回り、泣いてねだる様も…、恋人どうしが楽しく会話をし散策する様も…、日常風景として流れていく。
 その中を俺は、エマを横に添え、歩く。
 地球に戻り、…人恋しさもあってか、…部下を誘い、町に出ようとした。が…なぜか、その集合場所にエマだけがいた。
 理由は聞かずに、町に出た。…そして、先程の喫茶店に至る。
「おかしいですね」不意にエマが口を開いた。
「あなたが、こんな風に町へ出るの、誘ってくれるなんて、思いもしなかったです」
「俺も、部下を誘っただけだったんだが、君だけがいるとは思いもしなかったさ」
「え?」驚いたようにエマが俺を見る。
「ブルースさんが、私に来いって伝言、って、言われたんですけど」
 二人の部下が、何を思ってそうしたかは知らないが、エマの驚く顔を見るのは悪くないのも事実ではある。
「たぶん、どこかの影で様子でも伺って、俺の変な弱みでも掴もうって魂胆じゃないのかな」
「そ、そんな事!?…もう」
 俺の予測に、頬を膨らますエマ。それが、おかしくて笑う。
「ここで一条輝みたいに、どっかへ連れて行くなんて甲斐性があればいいが、残念ながら、俺はないぞ」
 コロコロと変わるエマの表情が最近、悪くないと思いだしていた。
「戦うこと一筋、強面な早瀬オペレーターみたいなのしか見てないから、イマイチ、女性は苦手でね…」
「そういえば、あの時、私の事も強面って」
「ほら、その顔だよ」はっと思い出して振り返るエマの顔に指をさす俺。
「そんな顔してたら、女好きのエディも逃げちまうぜ」
「…もう、…」
「じゃあ、ホテルにでも誘えば良かったかい?」
「知らないです!!」
 からかうのも程々にしようと足を止め、ジャンクフードの一つでも奢ろうかと俺は辺りを見回した。
 そして、さまよわす視線の先に、歩いてくる二人の人影を捉えた。
 歩いてくる二人も俺に気づいたようで足を止めた。
 それから、エマもそちらを向き、小さく呟いた。
「一条さんに…早瀬中尉」
「あ、ああ…こんにちは」
「エマさん、こんにちは」
 ラフな格好の輝と出かけ用のスーツを着た早瀬が口々に言葉を俺達にかけ、「デート?」と、早瀬が疑問符を投げかけた。
「え、そんなんじゃ」
「中尉、デートなら、俺がこんな格好していないと思いますがね?」
 エマのあわてた口ぶりに苦笑をもらしながら、軍服着のままの俺を指差して、返答をすると、それに対して輝が「おたくが軍服以外の服、持ってるように思えないさ」と、反論してきた。
「ま、二の句はないな」俺は肩で息を吐いて、二人に寄った。
「…一条、…少しお前とだけで、話がしたい…駄目かい?」

次に進む/読むのを終了する