=第八章・第九部=

=[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]=

 

 メルトランディ軍の機体は、ゼントラーディのように多種ではないようで、パワードスーツ型のものが飛び交っていた。
 ただ、その動きは俊敏にして高機動を誇り、重力圏内であっても、ゼントラーディ軍のそれを上回る機動力を持ち、なおかつ、多量のミサイルを放ってくる。追尾性についてはさほどではないものの、下手な鉄砲も…というものだろう。…

「くそ、こいつら、寝てる時の蚊みたいにうるさいな」
 どこの誰とも分からないが軽い悪態を吐くヴァルキリー乗りの声が耳に響く。「…まったくだな」と、俺も言葉を漏らす。
 迫り来るミサイルの束で常に鳴り響くアラーム音に…もう、音源自身を叩き潰したい心境になりながらも、機体を切り替えし、一機、また一機と落とす。
「デルタ1より、アポロ小隊各機へ」さらに一機、撃墜をした時、エマの通信が届いた。
「C3エリア、スカル小隊の戦域で劣勢情勢です。至急、援護に回ってください」
「スカル小隊が…?」
 一瞬、エマの通信に耳を疑う。
 スカル小隊とは、フォッカーの亡き後、結成された後継部隊ともいえる。…隊長に天才といわれるマクシミリアン=ジーナス、なじみのある一条輝、そして、一応大隊でも顔見知りの柿崎速雄という、スカル大隊きっての切れ者ぞろいではあるが…、その部隊が苦戦をするというのだ…。よほどの事だろう…
「分かった、スカル小隊に連絡を取り、至急、合流を急ぐ」
「気をつけてください」
 エマの注意を促す言葉を最後に通信を切り、スカル小隊への隊長機に連絡を繋ぎつつ、スロットルを開く。
「こちら、アポロ小隊。スカル小隊各位へ、これよりそちらに援護に向かう」
「アポロリーダー」通信に答えたのは輝だった。
「すまない、こっちは二機とも持っていかれた」
「…」一瞬、言葉を失う。
「お前、一人って事か…」
「最初の攻撃で、柿崎が落ちた。…マックスはその落とした奴とやりあって、通信が着かないんだよ」
 通信を聞きながら、降り注ぐミサイルを掻い潜り、バーナーを吹かす。
「とにかく、持ちこたえろ!直ぐに向かう。アポロ2、3はついてきてるな!!」
「もちろん!隊長殿を追う敵を打ち落として、追いついていますよ」
 エディらしい答えが帰ってくる中、後ろにつく二機の姿を見た。
 そう、死神に頼らなくとも、もう大丈夫だ…。優秀で信頼できる部下がいるのだから…

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