=第八章・第十部=

=[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]=

 

 戦況は逐一、小隊から各オペレーターに送られ、それが艦長の座るブリッジの未沙の元に伝わる。
 その状況は、一進一退というべきだろう…。
 今まではゼントラーディ軍との戦闘をこなしてきたマクロスではあったが、今回は初見となるメルトランディ軍である。
 やはり、攻めあぐねる点がいくつかはあるのだろう…。
 芳しくない状況が続き、指示を出す未沙にも焦りが生まれる。
 未沙ばかりではない、ブリッジに座するオペレーター達全て、モニターとインカムを交互に使い、状況を見極め、情報を伝達する。
「12時方向!!敵旗艦より巨大な熱源を察知!!」
 突如、ヴァネッサの悲鳴に似た警告。それに対して、いち早く、艦長が号令を放った。
「緊急回避だ!マクロス、下降!!ピンポイントバリアーをブリッジ周辺に張れ!!」
「緊急回避!マクロス、下降!!ピンポイントバリアー展開!」
 号令を聞き、クローディアがインカムを通して指示を出す。
 マクロスが鈍い音を立てたその瞬間、…ブリッジの頭上を白い光が掠める。
 間髪いれず、強烈な爆裂音と衝撃波が起こると、巨体のマクロスが蠕動し、海に浮かび上がった残骸都市にと不時着をする。
 数秒経たずに、艦内にエマージェンシーコールが鳴り響きだした。
「ヴァネッサ君、状況は!!」
 よろめきもんどりうって椅子に倒れた艦長が、頭を振りながら、状況を確認する。
「うっ、…はい」激しい揺れに軽い酔いを覚えながら、ヴァネッサは面を上げ、モニターを見た。
「…敵砲撃により主砲、被弾。大破により使用不能です!!」
 敵旗艦の強烈な砲撃は直撃を避けたものの、マクロスの最大戦力を奪い去っていった。
「…ぐ」事実に艦長は口の中を噛む。
「艦長、ふたたび敵旗艦より熱源の増幅を感知しました!!発射予測は、三分後です!!」

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